長く引きこもっていた20代の女性とお母様が見学に来られました。

あるセミナーで、ジョブサポートの実践をお話した時にお母様が参加しておられて、ご連絡をいただき、お2人で見学に来られました。

長い間、悪戦苦闘してこられたのだろうな、と想像しながらお話を伺いました。

主にお母様からのお話を伺いながら、

「『はたらく』をメインに、社会の中で生きていくことを支援しています」「今できることから始めましょう」「一歩踏み出すことは、本当に大変です」「よく来てくださいました」「ここに来られたのは、その大きな一歩です」「少しずつでもできることをやっていると、必ず積みあがっていきます」「思うように行かなくても大丈夫」「ここは、うまくいったりいかなかったりを体験するところ」「なぜ失敗したのだろう?どうしたら失敗しないかな?と考えるキッカケを作ってくれるから、失敗は宝です」「私たちも、一緒に考えていきますよ」・・・等々お話ししました。

そして、福岡ジョブサポートで実施している支援サービスを説明し、見学もしていただきました。

働き続けるための生活基盤を整える「生活訓練」事業や、ゆっくりと「働く」に慣れる就労継続支援B型事業、「働いて」しっかり稼ぐ、もう一つの就労継続支援B型事業所、就職をめざす就労移行事業、働き続けるための就労定着支援事業、相談支援事業・・という、お一人お一人のニーズに沿えるような支援サービスを説明しました。

 

実際に利用体験もされて、利用したい旨ご連絡を、お母様からいただきました。

「顔つきが変わりました」という見学から帰ってからのご様子や、将来の見通しが持てる支援の流れを聞き、実際に見せてもらって「本当にうれしかった!」と、言っていただきました。

 お話したことで、特別なことは一つもありません。

福岡ジョブサポートで、20数年ずっとやってきたことですし、見学に来られた方には、いつもご説明してきたことです。

ただ、見学に来られて初めてお会いした時、ご本人の目から、「なんとかして、今の自分を変えたい」という意思や「変えることができるかもしれない」という期待を感じましたから、ジョブサポートの説明をしながらも、主にお母様と会話しながらも、ご本人と見えない会話をしていたのだと思います。そうした中で、その方にとって必要な何かを、見学や説明の中でキャッチされたのだと思います。

 私にも覚えがあります。

昔々、いろんな偶然が重なり、障がい福祉の世界に迷い込んで、自分に何ができるのだろうと途方に暮れていた頃に、たまたま研修会で出会った先生から「ないものねだりではなく、あるもの探しを」と言われたことが、今も忘れられませんし、先生と会話しながら並んでみた、あの時の光景が鮮明に思い出されます。

どんなお話をしたのか忘れてしまったのですが、先生は私の中の迷いを感じ取られて、そんな言葉を口にされたのだと思います。

誰でも知っているフレーズですし、他にもいろいろお話されたのだと思うのですが、その時の私の心にとって、ぴったりの言葉だったのだと思うのです。

 

見学に来られた時の、その方にとって「やってみよう」と思われる何かをお伝えできたのであれば、こんなにうれしいことはありません。