福岡ジョブサポートは、「誰もが働きやすい社会を創ろう」を理念の一つに掲げています。

「障がいのある方たち」だけでなく、今の社会の中で働きにくさを感じている人はたくさんおられますが、その中には子育て中のお母さんやお父さんも含まれます。

 

子どもを育てながら働く親にとって、日常茶飯事の1つが子ども病気です。

「子どもが熱を出したので、休ませてください」「病院に連れて行くので遅刻します」「保育園から、熱があると連絡があったので早退させてください」・・が続きます。

子どもの症状を心配する一方で、仕事は予定変更をせざるを得ず、他のスタッフに託したり、後回しにするための連絡調整などに必死に動かねばなりませんし、その度に「すみません」「すみません」と言わねばならないのも辛いものです。

 

 一方、職場の同僚や責任者もまた、大変です。

 産前産後の休みに続いて育児休暇で、長い期間欠員が生じるし、復帰しても短時間勤務や急な遅刻や早退、欠勤が頻発します。

スタッフ本人の責任でも、子どもの責任でもないことを、理解や共感しているほとんどの同僚や上司にとっても、穴埋めをしていかねばならない職場の現実は厳しいのです。

 

 そうした子育て中のお母さんやお父さんの働きにくさと辛さの現実と、一緒に働く同僚や責任者のしんどさを軽減するために、私たちの社会は、どのように支援したらよいのか。

 

障がいのある人への就労支援と同じように考えたらよいのではないかと思います。

障がいのある人は、障がいのない人と同じ時代を生きて共に社会を支えていく存在ですし、子どもは、親の所有物ではなく、私たちみんなの未来を背負ってくれる存在で、私たちみんなの希望です。

 

 障がいのある人と同様に、子育て中の親も、それぞれのできることを発揮して企業や社会に貢献する。

職場は、その方ができることを支え、できないことは他の方法でカバーする。

社会は、障がい者雇用をしている企業をさまざまな助成金等で支えるのと同様に、子育て中の親が働いている企業を、さまざまな助成金で支えるようにしたらどうでしょうか。

親への、現金支給や、給食費や授業料を減免するなどの支援策は、子どもを育てる将来に強い不安を抱いている若い人にとって、展望の持てる支援ですが、一方、子育て中の親を抱える職場や企業への助成金等の支援は、障害者雇用企業への支援と同様に、働きながら安心して生み育てられる環境を創ることになると思われます。

 

ちなみに、福岡ジョブサポートの給与体系には、「配偶者扶養手当」はありません。

障がい者の就労支援をメインのテーマにしている法人として「一人一人が、それぞれのできることで働きましょう、生活の糧を稼ぎましょう」と考えているのです。

 

一方、子育てについては、「次世代育成手当」を18歳になるまでの間支給しています。

現在、5名のお母さんとお父さんスタッフに、合計11名の子どもを対象に支給しています。

わずかな金額ですが、私たちの将来を担ってくれる子どもたちを、皆で育てていこう、日々奮戦しているお母さんとお父さんスタッフを支えようという、スタッフ全員へのメッセージの意味も込めています。

 

小さな企業や法人でできることには限界があります。

私たち社会全体の未来を担う子どもたちを育ててくれている親と、その親を抱えて共に働いている職場を、社会全体で支えていくことができればと思うのです。