「〇〇は、ママの宝物!」・・・ハートネットTVの番組で、聞いた言葉です。
 6年生の発達障がいの男の子とお母さんが出演され、信州大学の本田秀男教授がインタビューしたり、お母さんの質問や将来の不安についてアドバイスするという構成でした。

 舞台は信州の鈍行列車の中。ゆっくりと走る列車の中で、鉄道大好き「てっちゃん」のその男の子は、車内のあちこちにカメラを向けてご機嫌です。
 車窓からは、信州の雄大な冬景色がゆっくりと過ぎていきます。

 発達障がいの男の子とお母さんの合言葉が「〇〇(男の子の名前)は、ママの宝物!」で、お母さんが「〇〇は、・・?」と声をかけると、大好きな列車を撮っている最中でも、向こうを向いていても、間髪を入れずに「ママの宝物!」と返ってきます。
 きっと、育ててこられた10数年間、ご本人もお母さんも、大変な思いをしてこられたのでしょうが、それを吹き飛ばす素晴らしい魔法の言葉だなあ!と感心しました。
 思うようにいかないことが多くて、自己肯定感の持ちにくいご本人への愛のメッセージであり、お母さんご自身を支える言葉でもあったのでしょう。

 本田先生が、お母さんの質問に答えられた中で印象に残った言葉がいくつかありました。
 ①学校の成績などはきちんと伝えること。
  自分の能力を理解できるようにサポートしてほしい。
 ②切り替えの苦手な特性を持つ人への対処方法として、納得できれば切り替えることができる。
  たとえ、うまくいかない時であっても、納得できればできる。
 ③これから迎える思春期の過ごし方について「親は引っ込んでろ!」。
  もちろん「△△をしたら、●●ができないよ」など、アドバイスは必要だが、
  「決めるのは本人」を守ることが大切。
  そして、将来、親から離れて生きていくための準備として、
 ④自分の能力を判断する力が大切。
 ⑤他人に相談できる力が大切。
 ⑥そのためには、大人は命令しないで、子どもと合意形成することに努める。
 ⑦いかにたくさんの人に頼ることができるかが大切。
 そして、最後に
 「あせらず、ゆっくり」と言われました。

 ①~⑦も、「あせらず、ゆっくり」も、障がいのある方の社会生活や就労の支援に取り組んでいる私たちにとって、大事だなあと「納得」できます。

 例えば、
 ①「自分の能力を理解する」④「自分の能力を判断する」の具体的な方法が、
  ジョブサポート郷口(就労継続支援B型)での実践では工賃です。
  毎日「どの仕事を」「どれだけ」したか?の結果が、そのまま工賃に反映する仕組みにしています。
  作業が終わったら「どの仕事を」「どれだけ」したかを、自ら入力し、その積み重ねが工賃になります。
  工賃の明細書には、作業別に金額が記入されていますから、どの作業でどれだけ稼いだか一目瞭然です。
  得意不得意も含めて自分の力を知ることは大切で、次のステップに進むためのツールと位置付けています。

 ②「納得して」③「自分で決める」そして「その結果に直面する」ことは、
  社会で生きていくうえで必要なことなのですが、
  「自分で決める」という経験の乏しい方が結構多いです。
  また、⑤「他人に相談できる」⑦「たくさんの人に頼ることができる」は、「あなた任せ」とは違って、
  自分の意志で相談したり頼ったりするということで、簡単ではありません。
  自分に信頼感を持てない人は、他人も信頼できないので他人に頼ることが下手ですし、他人を信頼できなければ、
  他人に頼ることはできません。他人を信頼するためには、自分への信頼感、自己肯定感があってこそです。
 ここまで書いてきて、改めて、
 「〇〇は、ママの宝物!」の合言葉は、素晴らしい魔法の言葉だと感じ入っています。