ジョブサポート馬出は、就労移行支援事業に就労定着支援事業を併設しています。
 就労定着支援事業は、働き続けるための支援として、数年前に制度化されました。
 
 福岡ジョブサポートは、これらの制度ができる前から、ジョブコーチ支援の考え方を中心に据えて就労支援に取り組んできました。
 ジョブコーチ支援の考え方は、
 (1)ジョブコーチは、その職場で、その仕事を、職場の同僚が教えるのを、支援する
 (2)ジョブコーチは、職場の上司や同僚に、その障がいのある人の、特性と必要な配慮、適切な教え方を伝え支援する
 (3)ジョブコーチは、職場の上司や同僚のナチュラルサポートが形成される可能性を見極め、形成されるように双方を支援し、形成が見込めたら徐々に職場から消えて行く。
 (4)ただし、障がいのある人も職場も変化するから、ずっと、細く長く、支援を続ける
というものです。

 ジョブサポート馬出から就職した人の中には、職場から「困ってます」と相談の電話がかかってくることもありますし、職場の上司や従業員が替わったので、その方の特性や指示の出し方について教えに来て欲しいと頼まれて出向くこともあります。
 また、毎月1回、ジョブサポート馬出に来て、馴染みの支援者と一緒に1ヵ月間を振り替えることで、1ヵ月1ヵ月を積み重ねて、10年以上働き続けている方もおられます。

 就労移行支援事業は、就職して半年間の定着支援が義務付けられていますし、就労定着支援事業は3年間とされていて、就職して3年半の間は支援を受けることができます。
 税金が使われるので、支援の利用について一定の制限は必要だと思いますが、3年半定着できたら、もう大丈夫なんて想定はおかしいと思うのです。

 現に、就職後何年もたって、離職し、次の就職を目指してジョブサポート馬出の再利用を始められる方が、年に数名はおられます。
 就職した時は、職場のニーズとご本人のチカラがマッチして始まったとしても、ご本人も職場も、仕事の内容も変化しますから、双方がんばってこられたけれど、どうしてもそのままを維持することができないことは、障がいの有無に関係なくあるはずです。

 たまたま最近、長く働いてこられたお2人の離職が続きました。
 8年余継続できていた方の職場からSOSが来て、ずっと支援してきた支援者が出向いて、その仕事ぶりを見守り、上司や従業員から状況を聞き取り、仕事内容や環境を確認もし、ご本人だけでなく、ご家族とも話し合った上で、このまま継続することには無理があると判断して退職することになった事例と、5年以上継続できていた方が、職場以外の要因で退職に至ったという事例です。
 お2人とも、長く定着していた方でしたので驚きましたが、人も職場もナマ身ですからいろんなコトは起こりますし、むしろ、これまでの職場に必要とされて働き続けた経験は、しっかりと身に付いているはずなので、次を目指すためにも、丁寧な定着支援や離職支援が必要だと考えて取り組んでいます。

 ただ、実態を見極め、関わる皆さんが納得できる結論を出し、諸々の手続きなども支援するのは、簡単なことではなく時間もかかります。経験を積んだベテランの支援者が、その調整に10日以上、かなりの時間を費やすこともあり、これらは定着支援事業の範疇にはありませんから、すべて事業所の持ち出しとなり、経営的にはつらいものがあります。

 私たちは、離職に至ったその方の、働き続けることで培ってこられた集中力や注意力、忍耐力などの成長を活かした新たなチャレンジを後押しするのは当然と考え、支援に取り組んでいますが、定着支援事業の制度にある「3年間」という時間に収まりきらない、上記のような事例に対しても、柔軟な活用ができないものかと思います。