「どうもならんなあ・・・」
 脳血管障害の後遺症で、片麻痺や高次脳機能障害のあるAさんとの面接の折に、Aさんからこぼれ出た言葉です。
 最近の体調を確認したら、「変わらん」との返事でした。
 さらにやり取りをしていると、バックから出されたのが、体重などの記録表の束で、数年分がありました。
 主治医から、体温、体重を記録するように指示されていて、毎日几帳面に記録しておられました。
 その記録数年分を一緒に確認しました。
 体温も、体重も、多少のアップダウンはありますが、ほぼ変わりません。
 体温は35度台で低いまま、体重は70数キロでいささか高いですが、安定しています。
 上がりもせず下がりもせず、増えもせず減りもせず・・・・。

 これまでも、この方の3者面談の折には、しばしば体重を減らすことが話題になっていましたし、ご家族も再発症を心配して食生活の偏りなどを指摘されるのですが、いつもむっつりと黙ってやりすごされるだけです。

 今回、高止まりの体重記録を見ながら、「Aさんは、なんとかしたいですか?」とお尋ねした返事が「どうもならんなあ・・・」でした。
 “面倒なことはイヤ”と言う拒否でもないし、“あきらめ”とも違うのです。
 “考えきらんトヨ”と言っておられるように聞こえました。

 支援者の立場としては、「痩せなかったら、また病気が再発するかもしれませんよ」「再発したら、障がいが重くなる可能性もありますよ」「痩せる方法を一緒に考えましょう」というような説明をすべきだったでしょうが、、そんな説明をしたとしても、ご本人の耳にも心にも届きそうにありませんでした。
 これまでも、ご家族が繰り返し説得して来られたのだろうと思います。

 そんな説明でAさんの心に「なんとかしたい」という意思が生まれるとは思えませんでしたし、「なんとかしたい」という意思の芽も見つけることができませんでした。
 
 Aさんの「どうもならんなあ」を、「なんとかしたい」「こうしたい」という何らかの意思の芽を、Aさんと一緒に見つけて行きたいと思います。