“はたらく大人に フィット県庁前”の生活訓練では、実際の職場で働く経験を通して、働く上での自分自身の「課題が何かを理解すること」を主な目的に、週1回の石村萬盛堂勅使道店の清掃作業とコンビニの作業をプログラムに取り入れています。
 石村萬盛堂勅使道店の作業は以前から取り組んできましたが、コンビニ作業は昨秋始めたものです。

 1ヵ月ほどのお試し期間を経て、昨年10月から近くのコンビニのオーナーと作業の請け負い契約を結び、対価をいただいて作業をしています。
 就労移行支援事業や就労継続支援事業など就労系の事業にある「施設外就労」と同じように、支援者が同行支援しています。

 コンビニ作業は、毎日1時間、2名の利用者さんがチャレンジしています。
 当初は、店内や店外の清掃や品出しを担当していましたが、最近の業務は、棚にある商品管理で、商品や棚についている埃をふき取って元に戻してきれいに並べる作業です。
 ご存知のように、コンビニにはものすごくたくさんの種類の商品が並んでいます。しかも置いてある商品の数は売れ行きによってバラバラで、棚のスペースは限られています。お客様の中には、手に取った商品を元に戻さない方もおられます。
 通路の幅も狭いですし、作業中にお客様が通られることは当然ですから、邪魔にならないように作業しなければなりません。
 又、制服を着てお店で働くのですから、「いらっしゃいませ」のご挨拶をするのはもちろん、お客様から「○○はどこですか?」など声をかけられることもあります。
 「作業に集中して指示通りに作業する」と「周りに注意を払う」を両立することが必要ですし、接客業ですから臨機応変な対応が求められる職場です。

 作業に気を取られて「いらっしゃいませ!」を言わなかったり、作業に集中するあまり通路をふさいでいたり、お客様に声をかけられたときのルール「少々お待ちください」が出なくて、お客様が去って行かれたり、商品を取り出すときに、ルール通りに処理しなかったので、どこに戻せばよいかわからなくなったり、・・毎日いろんなことが起こります。
 学ぶことがいっぱいあり、支援者とルールの確認と振り返りを繰り返して5ヵ月が過ぎました。

 作業を始める前に、まず店長に作業の指示を受けて、指示通りの場所の作業を始め、終了時にチェックを受けるのですが、「ここの埃が取れていない」「●●を優先して」など不十分な点を指摘される毎日でした。

 ところが先週、「店長から褒められました!」と、うれしい報告を受けたのです。
 こんなことを言われたそうです。
「社長から、『2人が来るようになってから店内がきれいになった』と褒められました」
「おかげで落ちてきていた売り上げが上がってきています」
「九大病院の職員さんや患者さんなどのお客様が多い店ですが、2人の作業ぶりを見ておられて『障がい者が働く場を提供してくれてありがとうございます』とお礼を言われました」
「自分は細かいことをいろいろ注意するけど、応えようとしてくれている」
「毎日コツコツと来てくれてありがとうございます」
「これからもよろしくお願いします」

 社長が、お店がきれいになったことをきちんと見て取って、ほめてくださったことも、本当にうれしいことでしたし、率直にお礼を言ってくださった店長にも感謝の気持がいっぱいです。
 これだけでも十分うれしいことでしたが、
2人が一生懸命がんばっていることを、しっかり見てくださっていたお客様のやさしい目と、「障がいのある2人をスタッフの一員として受け入れている」ことが、価値あるものだと店長に伝えてくださったお礼の言葉も、思いがけないうれしいできごとでした。
 店内がきれいになったことだけでなく、障がいのある人が働いているお店のその姿勢を高く評価して、来店が増え売り上げが上がったのではないでしょうか。

 私たちの社会は、貧困や格差など生きづらくなっている面もたくさんありますが、障がいのある人ががんばって働いている姿を、こんなにも優しい目と、優しさあふれる褒め言葉で表してくださる方たちもおられるのです。